透析の話し

第26回 便秘をなんとかしたい

透析患者様は水分制限や食事内容の制約があり、またリンやカリウムを下げる薬は便秘になりやすく、便秘に悩む患者様を多く見かけます。また運動もなかなか十分に出来ないので、余計に排便コントロールを難しくしているようです。

苦しい便秘をなんとかしてあげたい”…と思ってもなかなか排便コントロールはうまくいきません。下剤を服用しても、だんだん効きが弱くなって薬の量が増えてしまいます。
今月のクリニック便りでは、便秘の原因と対策について考えて見ました。

透析患者様の便秘の原因としては、

  1. 高カリウム血症を避けるために野菜や果物の摂取量を制限されているため、
    食物繊維の摂取量が不足している。
     
  2. 水分制限がある。
     
  3. 便秘になりやすい薬剤を服用している。
     
  4. 貧血や全身倦怠感により運動が不足している…等々が考えられます。
     

便秘の対策としては、

  1. 下剤を使用する。
    下剤といっても色々な種類があります。プルゼニド、アローゼン、ラキソベロン等は「刺激性下剤」といい、腸の動きを刺激して排便を促すものです。D-ソルビトール等は「浸透圧性下剤」といい、浸透圧作用により腸管内に水分をおびき寄せ便をやわらかくします。その他にも腸管の動きを促進する薬としてパントシンや、浣腸剤等があります。先生と相談して、色々な薬を組み合わせてスムーズな排便を促しましょう。
     
  2. 食物繊維補助食品の使用。
    食物繊維は便塊に浸透して容積を増大させ、腸壁に物理的刺激を加えて排便を促します。また一部の分解された食物繊維はビフィズス菌等のえさとなり、善玉腸内細菌を増やす作用もあります。リンやカリウムが少なく食物繊維を多く含む補助食品を使用するのもいいでしょう。
     
  3. 乳酸菌製剤の使用。
    乳酸菌は腸内の腐敗菌の過剰増殖を抑え正常な腸内菌叢に戻す効果があるとともに緩やかな下剤としての作用もあります。しかし、乳酸菌を経口的に摂取しても胃酸で大部分が死滅してしまい整腸効果は十分ではありませんが、特殊なカプセルにビフィズス菌を包むことにより生きたまま腸に到達できる栄養補助食品もあるようです。
     
  4. その他。
    適度な運動や腹部のマッサージ等も腸の動きを促進し、排便力の増加にもつながります。また、一日三食の規則正しい食生活も大事です。

さぁ、色々チャレンジしてなんとか頑固な便秘を解消しましょう。下剤や栄養補助食品についてのご質問等がございましたら、スタッフへ声をおかけ下さい。

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