透析の話し

第18回 検査 その1《定期検査について》

今回からは、皆さんが元気で透析生活を続けていく為に、皆さんの身体の状態を把握し今後の治療に反映したり、異常を早期に発見し対処する目的で行われる諸検査について話を進めて行こうと思います。

透析合併症のところでもお話したように、透析が長くなれば色々な合併症が出て来ます。それらの合併症を早期にチェックすることはとても大切なことです。血液検査、胸のレントゲン、心電図等は日常的に行われ透析治療に活かされています。しかしそれ以外でも、年に1回は受けていただきたい検査があります。

心エコー検査 心電図では解らない心臓の形態(心内腔の大きさ、壁の厚さ、弁の形状など)や心機能を診ることが出来ます。透析患者さんはカルシウム・リン代謝異常により弁の石灰化を来たしやすく、弁の狭窄や閉鎖不全を高頻度に合併しやすいため定期的に検査をする必要があります。
腹部エコー検査 内臓臓器(肝臓や胆嚢、腎臓、脾臓等)の形態学的な検査で、痛みを伴わずに出来る検査です。透析患者さんの腎癌および肝細胞癌のスクリーニング検査として大事です。エコー検査で疑わしい場合はCT検査を行います。
上部消化管内視鏡検査
(胃カメラ)
透析患者さんは消化器系疾患が多いため、年に一度は胃カメラをお勧めします。
便潜血検査 胃や大腸など消化管の異常を早期に見つけるために行われる検査です。便潜血反応が陽性の場合は内視鏡検査で詳しく調べます。
動脈硬化検査 透析患者さんは進行した動脈硬化がみられることが多いため、早期に診断し治療を行なうための検査です。足関節と上腕の血圧比を見るABI検査や心臓の拍動が動脈を伝わる速度を見る脈波伝播速度(PWV)検査、下肢動脈エコー、頸動脈エコーなどがあります。痛みを伴わず簡単に出来る検査です。
眼底検査 糖尿病がある患者さんは定期的に眼科を受診し、眼底検査を行ないましょう。

透析日以外に検査を行なう場合も出てきますが、「めんどうだ…」なんて思わずにきちんとこれらの検査を受けて異常を早期に発見して適切な治療を行ない、これからも元気に透析生活を続けて行きましょう。

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