透析の話し

第16回 透析合併症 高リン血症 その2《二次性副甲状腺機能亢進症》

今回は「沈黙の殺し屋(サイレント キラー)」高リン血症の合併症第二弾として《二次性副甲状腺機能亢進症》についてお話しましょう。

副甲状腺は喉仏の下あたりにある甲状腺の裏側に上下左右に一つずつ通常計4つあります。この副甲状腺から副甲状腺ホルモン(以下PTHといいます)が分泌されます。PTHは腎臓と骨にはたらいて血液中のカルシウム(以下Caと略します)濃度を上昇させ、リン(以下Pと略します)を低下させるはたらきがあります。腎不全になると腎臓からのPの排泄が出来なくなり、血液中のPが増加します(高リン血症)。高リン血症は直接副甲状腺にはたらいてPTHの分泌を促します。一方、腎不全になると腸管でのCaの吸収も悪くなり血液中のCaが減って来ます。それを補おうとPTHがたくさん分泌され、骨からCaを溶け出させて血液中のCaを上げようとします。副甲状腺の細胞の増殖がすすむと副甲状腺が腫大し、ますますPTHがたくさん分泌され、二次性副甲状腺機能亢進症の状態となります。

【二次性副甲状腺機能亢進症の症状】

  1. 骨の中から必要以上のCaが抜けてしまい、骨軟化症や繊維性骨炎となり、
    骨折しやすくなったり、骨が変形して痛みが出たりします。
     
  2. 異所性石灰化(前回の透析の話しを参照下さい)
     
  3. 筋力低下、歩行障害、イライラ感、不眠、集中力低下、うつ症状など
     
  4. 貧血、低栄養、やせ、かゆみ、頑固な咳など
     
  5. 心不全

少々リンが高くても痛くもなんともない為、ついつい注意を怠りがちですが、以上見てきたように高リン血症を放置しておくと将来的に深刻な合併症を引き起こします。
これから続いていく透析生活を元気にイキイキと過すためにはリンのコントロールはどうしても必要です。毎日の食事内容の再チェック、リン吸着剤を忘れずきちんと服用すること、毎回の血液検査データでP値、Ca値、インタクトPTH値などに関心を払うこと等が必要です。

最近新しいリン吸着剤が出たりして高リン血症の治療に幅が広がりました。そしてこれからも色々な朗報が舞い込むことでしょう。高リン血症を一人で悩まず、先生や看護スタッフや栄養士さんに相談しリンコントロールの方法を探って行きましょう。

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